んにちは、大川です。
入門編①と②では、一般的な陶芸のお話をしましたが、
今回の入門編③からは、ようやくです。
トキノハのうつわのシリーズはいくつかありますが、
入門する最初の一歩の器はといえば、やっぱり「shiro-kuro」シリーズです。
白と黒というモダンな色味と、シンプルなかたちが特徴の器。
おしゃれを楽しむようなこの器のモダンさは、
どこか日常づかいのイメージが付きにくいかもしれません。
けれど、シンプルの中にはたくさんの手づくりならではが散りばめられた、温かみのある器です。
色と、かたちと、手づくりと、といったお話を、今後の入門編で一つずつ取り上げていきましょう。
まず、私が最初に手に取ってみてほしい器は皿と鉢です。
shiro-kuroシリーズのの皿と鉢は、シンプルだけどモダンなデザインで、トキノハらしい器だと思います。
【お買いもの目線:サイズのみかた】
さて、このshiro-kuroシリーズの皿と鉢には、
皿(寸皿)は3〜7寸の5サイズ、
鉢(寸鉢)は4〜7寸の4サイズ
と、サイズ展開があります。
そして「○寸皿・○寸鉢」という名前がついています。
この○のところに、それぞれの大きさの数字が入ります。
3寸皿、4寸鉢、といった感じです。
さて、この「寸(すん)」という言葉、あまりなじみのない響きかもしれません。
昔のサイズの単位「寸」で、
1寸は約3cm(正確には3.03cm)です。
余談ですが、和楽器の尺八は1尺8寸の長さを省略して名づけられています。
1尺は1寸の10倍で、つまり尺八の大きさは30.3+3.03×8cmです。
話を元に戻します。
3寸皿 3×3cm=9cm
4寸皿・鉢 4×3cm=12cm
5寸皿×3cm=15cm
6寸皿・鉢×3cm=18cm
7寸皿・鉢×3=21cm
ということになります。
この数字、どこかで見かけたことはありませんか?
日本において、この器の大きさの規格は多く使われます。
shiro-kuro・calm・copper・ashのプレートやボウルも、
9cm、12cm、15cm、18cm、21cm、24cm、のサイズの中から作られています。
(※制作しているサイズ展開はシリーズによって異なります)
シリーズを超えて大きさを揃えたいとき、
また、自宅の器と大きさのバランスを上手に組み合わせたり、重ねたりするとき、
このコツを知っていると、簡単にほしいサイズが選べそうです。
【作りて視点:大きさのいみ】
さて実際、みなさんは「皿」や「鉢」ということばから、どれくらいの大きさのものをイメージしていましたか?
豆皿・小皿・取り皿・大皿 …
小鉢、中鉢、大鉢…
大きさに合わせて付けられる名前によって、それぞれ器の使い方に場面が固定されているような気がします。
けれど、トキノハの寸皿と寸鉢は、「○寸」と名付けたことで、器のかたちのシンプルさが、より一層引き立っているような気がします。
このシンプルさが、うつわを使う場面において、多様なシチュエーションの可能性を秘めているように思います。
しかし一方で、同じかたちでも大きさのバリエーションを持つことで、器の雰囲気が異なっているようにも思います。
シンプルなデザインのため、だれもがどのような場面においても使うことができる。
けれど、シンプルなデザインは、大きさに合わせて自分だけのうつわの使い方をイメージできる。
ひとり一人の手になじむサイズ感を選べること、
家庭やお店など〈わたし〉以外の〈あいて〉に合わせたうつわ選びができること、
など、つかう場面で選べるサイズがシンプルなデザインゆえに、
ついつい大きさ順に並べたくなるし、
重ねてまとめたくなるし、
集めたくなってしまいます。
それが、この寸皿と寸鉢の魅力的なところだと思います。
以上で、入門編③でした。
次回の入門編④以降では、さらにうつわの細かなところを見てみたいと思います。
よろしくお願いします!ありがとうございました。
文・大川理可