5.トキノハの手しごと② −釉薬のつくり方−

5.トキノハの手しごと② −釉薬のつくり方−

こんにちは、大川です。

 

オンラインストアのページでは、shiro-kuroシリーズの器の紹介で、

白い器は、アイボリーがかったしっとりとしたマットな質感を持つため、優しくて温かみのある雰囲気

黒い器は、角度によって金色にも輝く、金属のような質感であり、クールでモダンな雰囲気、

という、説明がされています。

 

ところで、この説明が具体的にどのような器かイメージできますか?

 

器は手に取って使うものなので、「色」だけではなく「触りごこち」も大事なポイントです!

 

この色と触りごこちを表現しているのが、焼き物においては「釉薬」です。

 

そんな釉薬について、shiro-kuroシリーズ最大の特徴である「白」と「黒」に注目して、釉薬を見てみようと思います。

 

 

 

【お買いもの目線】

 

トキノハの白いうつわと黒うつわ、それぞれどのような色みのものかというと、

温かみのあるやわらかな雰囲気の「白」い色み、

金属のような質感のピリッとエッジの効いた「黒」い色みです。

 

この雰囲気は、釉薬自体の厚みが違うことも関係があります。

 

白いうつわのやわらかな雰囲気は、釉薬のぽってりとした厚みのためです。

少し厚めのガラスの膜が丸みを与えてくれ、チタンという金属の一種が生み出す結晶は、白い乳濁のなかにかわいらしい点として、優しい白さにしてくれます。

 

黒いうつわのシャープさは、器本体のキリッと引きしまったかたちをみせるために、あっさりとした釉薬を掛けています。

そうして、土本体と釉薬の密接度を増すことで、器としての土の質感を引き立てつつ、落ち着いた雰囲気に仕上げています。

 

釉薬のもつ「色」だけではなく「触りごこち」という感覚のもので「質感」が、器の「みえ方」に効果を与えてくれています。

 

 

 

【作り手視点①:釉薬のつくりかた】

 

トキノハの釉薬の作り方は、シンプルに手作業です。

原料を計量器で計って、フルイに通します。

原料はどういうものを使っているかというと、石やガラス、灰や金属などの粉です。

それらを決められた分量を測り、そこに水を加えて手で混ぜ溶かして、最後にだまや不純物を取り除くためにフルイに通します。

通すフルイの目の細かさは様々あり、原料の特徴や、釉薬の雰囲気(釉調)にも合わせています。

 

工程だけ見ると、お菓子作りと一緒です。

 

これら原料を混ぜ合わせると、どろっと粘り気を持つ釉薬もあれば、さらっとしたり、固くなったりとさまざまな変化が起こります。

 

釉薬を作る上での調合の仕方は、釉薬の基盤となる原料に、

ツヤッとさせるのか、さらっとさせるのか、しっとりさせるのか、という質感を表現するための原料を加えて、

色味を入れる場合、さらに、発色させる原料を加えます。

 

ちなみに、色味の原料はそのままの色を発色させる顔料もありますが、陶芸では金属の粉を使うことが多いです!

鉄は、黄色や青色に、

銅は、緑・青、そして赤色にと

濃度や焼きかたによって幅広く色の変化を出してくれます。

あ、化学でした。

 

 このようにして作った釉薬を、実際にかたち作られた器にかけていくわけですが、またすこし専門的なお話になるので、次回の施釉編でお話ししたいと思います!

 

 

私がトキノハに来たときに驚いた、これほどたくさんの釉薬の種類があって、種類も多く商品があるのにもかかわらず、機械ではなくて手で釉薬を混ぜて作っているということを、知ってもらえればと思いました!

そういうところも、トキノハらしさなんです。

それなので、いつも、いい色に焼き上がってと願いながら焼成をしています。

  

ぜひ、お店にお越しいただいて、実際に「うつわ」を手にとって、見てみてください!

 

 

 

次回も続く、釉薬のお話でもっと知ってもらえますように。

 

ありがとうございました!

 

 

 

 文・図 大川理可

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